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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

茜色に焼かれる

「まあ、頑張りましょう」という言葉が口癖のヒロイン良子(尾野真千子)が、何を考えているのか、最初のうちは分からない。7年前に夫が事故死(これは誰もが、あの事件だなと想起できる現実の出来事が下敷きになっている)、小さなカフェを経営していたが、コロナ禍で破綻。一人息子との生活費だけでなく、脳梗塞で倒れた義父の老人ホーム入居費も負担し、良子の生活は楽ではない。昼間は花屋でアルバイトをしつつ、夜はピンクサロンで、面倒臭い男たちの相手をする彼女は、正義感に燃える人なのか、単に我慢強いだけなのか。物語が進むにつれて、映画はどんどん未知の領域へと広がっていく。女優・尾野真千子の代表作の一本になるだろうし、石井裕也監督にとっても、『舟を編む』(13) や『映画 夜空はいつでも最高密度の青空だ』(17) と並ぶ秀作になったことを喜びたい。

21/5/13(木)

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