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植草 信和
1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)
ボーダー 二つの世界
19/10/11(金)
ヒューマントラストシネマ有楽町
永遠に年をとらないバンパイアの少女と孤独な少年の交流を描いた『ぼくのエリ 200歳の少女』は“スウェーデンのスティーヴン・キング”といわれるヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストのベストセラー小説『MORSE -モールス』の映画化作品で、トライベッカ国際映画祭グランプリなど世界各国で60もの賞を獲得、日本にも多くの熱狂的なファンを持つことで知られている。 そのリンドクヴィストとイラン系デンマーク人の新鋭、アリ・アッバシ監督の共同脚本による『ボーダー 二つの世界』は、『ぼくのエリ』を凌ぐ衝撃作だった。「こんな映像、見たことがない」という驚愕のシーンの連続で、伝える言葉が見つからない。何が凄いのかを、以下箇条書きにしてみよう。 1. 映画史上、こんな醜悪な男女を主人公にした映画はかつてなかった。 2. 犬以上の嗅覚で所持品を探り当てる女性が主人公(税関職員)の映画はなかった。 3.現実とは思えない、初めて観たグロテスクなセックス・シーン。 とはいえ、『ボーダー』はゲテモノ映画ではない。醜悪な男女の愛を描いた美しく崇高なスウェ―デン・デンマーク合作の北欧映画だ。 「ベニチオ・デル・トロを驚愕させた」とプレスシートには書かれているが、その詳細を是非知りたいものだ。
19/10/8(火)