なんといってもソフィア・コッポラの映画のビル・マーレイが一番好きだ。ファニーなだけではない、役者としての彼のあらゆる魅力が堪能できるから。 『ロスト・イン・トランスレーション』から17年ぶりとなったふたりの新作のコラボレーションでは、ソフィアの監督としての円熟も加わり、なおさらエモーショナルな作品に仕上がっている。 愛する子供と夫に囲まれニューヨークで暮らすローラは、あることがきっかけで夫に愛人がいるのではと疑い始める。不安は加速し、ついにプレイボーイとしてならした父親に、男の側の意見を聞こうと相談するのだが。 型破りな父と娘の皮肉の効いたセリフの応酬に吹き出しつつ、家族について、人生について深く考えさせられる。 Apple TV+の配信がメインだが、日本では劇場公開もされるという幸運を逃すべからず。

20/10/3(土)