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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

ある船頭の話

オダギリジョーが構想約10年の脚本で長編映画に初挑戦した監督作。明治〜大正期とおぼしき日本、大きな橋の工事が進む川辺の村を舞台に、町と村をつなぐ船頭の物語。 オダギリは役作り、自身の見せ方でも、こだわりを見せる俳優。その彼が『宵闇真珠』で出会った香港映画の名カメラマン、クリストファー・ドイル監督の出会いをきっかけに、メガホンを取った。 日本映画を代表する名俳優・柄本明を始め、村上虹郎、伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優、笹野高史、草笛光子、細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功が豪華共演。昨年夏、今年1月に新潟・阿賀野川と福島・霧幻峡で長期ロケ。その現場にも2度取材した。監督業は大変だったそうで、夏場はストレスからか、20個以上の口内炎を作ってしまった、とか。 文明と人間。失われるものの中で、失ってはいけないものは何か。この大きなテーマを、大自然の中で生きる一人の老いた男の視線を通じて描く。オダギリ監督はドイルを前にしても、妥協のない画作り。ドイル氏もその期待に応え、冒頭の映像から圧倒される。DVDや配信を待たず、ぜひスクリーンで。最近、類を見ないユニークな日本映画になっている。

19/9/11(水)

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