クリス・マルケルが亡くなったのが2012年、もう7年も経つというから驚く。多くの映画作家は、逝去してしまうと追悼特集こそ組まれたりするものの、その後は音沙汰が少なくなってしまう。だがマルケルは、没後ますますその真価が掘り起こされている稀有な人だ。世界中に友人がいながら人前に出るのを好まず、彼の創造の源となる品々は、パリにある彼の「秘境」アパルトマンから近年になって掘り起こされている。日本では傑作『ラ・ジュテ』のブルーレイ発売も記憶に新しい。 「映画作家」と書いたが、本当は何と呼ぶべきか今も分からない。写真家で、マルチメディア・アーティストで、作家で、政治運動にも関与した。若き日のみずみずしい...

19/4/2(火)