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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

私たちの青春、台湾

近年、東アジアで同時多発的に、あるいは互いに励まし合うかのように学生を中心とする社会運動が盛り上がりました。香港は雨傘運動が鎮圧され、日本のSEALDs(シールズ)は安全保障関連法案の成立と共に勢いを失いましたが、唯一台湾のひまわり運動は23日間の立法院(国会に相当)占拠を貫徹し、その後の政治状況激変を引き寄せました。結果は様々ですが、運動の最中で問われたのは民主主義への素朴な疑問と課題です。本作は運動が成功したかに見える台湾もまた「理想の民主主義」を実現することの難しさを抱え込んでいることをしっかりと伝えています。 ひまわり運動のリーダー陳為廷(チェン・ウェイティン)は立法院から撤退を決める際の仲間の決議方法に違和感を感じる一方、自身による過去のセクハラ事件が表面化し立法院の補欠選挙出馬を断念します。一方民主主義にあこがれて台湾に来た留学生の蔡博芸(ツァイ・ボーイ—)は中国籍であることを理由に淡江大学の学生会長選出馬資格を取り消されてしまいます。二人を通して期待する未来を描こうとした傅楡(フー・ユー)監督は思い通りにならない現状に落胆したことでしょう。でもそのままではないと思います。一人一人の力は小さくとも、いつか互いに理解し合える日が来ると思っているのでしょうから。 体制を超えて3人の若者の夢と挫折を描いた青春物語です。

20/10/29(木)

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