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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

ミナリ

『君の名は。』のハリウッド実写版を手掛けることでも話題のリー・アイザック・チョン(チョン・イサク)監督作品『ミナリ』が、サンダンスやハートランド映画祭で観客賞を相次いで受賞、「アカデミー賞も視野に入った!」などの報に接して、『パラサイト』に続いて今年も韓国映画が台風の眼になるのだろうか、と思った。 だが『ミナリ』は、ブラッド・ピットの製作会社プランBエンターテインメントが製作したアメリカ映画。農業で生計を立てようとする韓国人移民家族の苦闘を描いた作品だった。 主人公のジェイコブ(スティーヴン・ユァン)は韓国人移民を父に持つ韓国系アメリカ人。妻モニカ(ハン・イェリ)と幼い子供ふたりを連れてカルフォルニアからアーカンソー州に移住し、農業を始める。だがその土地は農作には不向きで、孤軍奮闘を余儀なくされる。 タイトルの“ミナリ”とは、「韓国語で水辺に育つ香味野菜のセリ(芹)のこと」。 劇中で、子供たちの面倒を見るために韓国からやってきた祖母スンジャ(ユン・ヨジョン)が故国から持参したセリの種を播き、育成させる。農作物は育たないが、“ミナリ”だけはスクスクと育つ。 「独特の香りと歯ごたえに特徴があり2度目の旬が最もおいしい」ことから、子供の幸せを願う親の気持ちをこめたダブルミーニングのタイトル“ミナリ”。本国で人種・世代を越えて支持されるのは、アメリカが移民の国だからだ。主題歌が我が国のテレビドラマの名作『北の国から』に類似していることもあって、親子の情愛に感動させられる。

21/3/10(水)

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