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樋口 尚文
1962年生まれ 映画監督、映画評論家
デッド・ドント・ダイ
20/6/5(金)
TOHOシネマズ 日比谷
2013年に『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』というバンパイアの映画を撮ったジム・ジャームッシュが、今度はゾンビの映画を撮ってしまった。なぜか映画監督はゾンビ映画を撮りたがるが、まさかジャームッシュまで撮るとは思わなかった。『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』は洒脱を極めた傑作だったし、あの作品でカッコよすぎたティルダ・スウィントンが続投している(またまた笑っちゃうくらいカッコいいのだが)ので、またああいう洒落た映画なのかと思いきや、意外やまっこうからゾンビ映画で驚いた。ビル・マーレイはほとんど『ゴーストバスターズ』の時みたいな演技だが、『パターソン』に続いてジャームッシュ作品に登板のアダム・ドライバーの演技のチューニングの的確さがスマートだった。終盤には阪本順治『団地』くらいのまさかが待っている。
20/6/5(金)