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Tak

美術ブロガー

サントリー美術館 開館60周年記念展 刀剣 もののふの心

2015年(平成27年)「刀剣乱舞」の出現により平成の刀剣ブームが沸き起こり、刀剣を前面に押し出す展覧会があちこちで開催されています。展覧会に足を運ぶきっかけなど何でも良いわけで、ゲームに登場する刀剣の本物を是非この目で愛でたいという気持ちから多くの方が美術館・博物館へ足を運んでくれ喜ばしい限りです。 一方で絵画や彫刻と比べ、刀剣の類は見方がさっぱり分からないという方も満足のいく展示内容・展示構成に仕立て上げているのは流石、サントリー美術館です。 「刀剣展」でありながら、内容的には「日本美術の優品展」となっています。次から次へと観たかった屏風や絵巻物などが目に飛び込んできます。例えば『平家物語』の全文章を収めていた絵巻として現存する唯一の≪平家物語絵巻≫(林原美術館蔵)や、修復後初お披露目となる狩野元信筆≪酒伝童子絵巻≫(サントリー美術館蔵)など数え上げたらきりがないほどです。 それぞれ深く重いストーリーを抱えた名刀と共に、それに関連する日本美術を融合させた展示が随所に展開されており、飽きるどころか高い緊張感を持ちながら鑑賞できます。屏風や絵巻だけの展示であったら見逃していたかもしれない「刀」たちに目が行くので、まるで初めて観る作品の如く新鮮な気持ちで向き合えます。 刀剣をフックとして日本美術の新たな見方を示してくれている展覧会です。勿論、単体で観ても非常に興味深い名刀中の名刀も照度を落とした空間で存在感を輝かせています。名物骨喰藤四郎の背後に、豊臣秀次が所用したとされる≪朱漆塗矢筈札紺糸素懸威具足≫が展示され、得も言われぬ景色を生み出しています。 こうした時空を超えたコラボが目の前で展開されるのは、歴史好き、刀剣ファンでなくともワクワクさせられるものがあります。名刀たちとそれらが描かれた屏風や絵巻。そして武将たちが合戦上で身に纏った鎧兜など幅広い視野から刀剣の魅力を掘り下げる展覧会です。

21/10/3(日)

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