できれば事前の情報を全く入れることなく観て欲しい作品だ。 我々観客は、映画に臨む際、それがどんなジャンルで、このジャンルならこういう展開になり、こういう部分を楽しむ……ということを意識的・無意識的にかかわらず、どこか念頭に置いている。 ただ、時おり徹底的にその感覚を裏切ってくる作品がある。 この映画は、まさにそれだ。 「ああ、こういう映画ね」と思って身構えていたら、「なるほど、実はこういう映画だったのね」とニヤリとくる。 で、その一度の返しでも十分なのだが、これには「え、ほんと……？」という驚愕が待ち構える。 観る側の意識の流れを意識して、複数のジャンル映画のパターンをあえてメタ的に盛り込みながら物語は展開する。 こちらの意識下の先入観に挑戦してくる構成。よく考えたものだ。

20/12/12(土)