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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。

春日 太一

映画史・時代劇研究家

異端の鳥

とてつもない作品だった。 3時間近い上映時間だが、そのことを忘れさせる濃密さ。 舞台は第二次世界大戦下の東欧なのだが、どの国かは伏されている。そのことが、本作の物語を普遍的な寓話たらしめている。 描かれるのは、ユダヤ人への迫害から逃れて疎開した少年が行き先々で悲惨な目に遭う姿。生き抜くために変わってゆく少年。そして、その流転の果てに、本当はずっと待ち望んでいたはずの“幸福な結末”さえ受け入れられなくなってしまう。 モノクロの重厚な映像が、その残酷さをいっそう際立てている。 映画『砂の器』のラスト30分からウェットな部分を引いて、悲惨さをさらに増したような展開。 重苦しいが、そのぶん見応えは近年でも屈指といえる。

20/10/7(水)

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