Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

演劇鑑賞年間300本、記者歴40年のベテラン

大島 幸久

演劇ジャーナリスト

加藤健一事務所『叔母との旅』

わずか4人の男優だけで登場人物24人の老若男女を演じ分ける挑戦的なのが『叔母との旅』だ。いかにも演技派のカトケンらしい公演と言えるだろう。 英国の人気作家グレアム・グリーンの人気小説を舞台化した作品なのだが、演劇だからこそ可能な企画だ。 物語の仕掛けがまず面白い。勤めていた銀行を53歳で早期退職した主人公ヘンリー・ブリング。フリーの身となって何をするかと言えば、庭のダリアをいじくるだけの平穏な暮らしを選んだ。これだけではドラマにならない。で、穏やかな日常を狂わせるのが、母の妹であるオーガスタ叔母さん。二人で旅へ出ることになり、エキセントリックで自由奔放なこの叔母に巻き込まれていく。 ヘンリーを加藤健一、天宮良、清水明彦、加藤義宗の4人が演じるという。それだけではない。カトケンはオーガスタ叔母さんもやる。なんと、天宮は10役、清水も9役演じるのである。ホ、ホ~。 世界中の各地を旅する道中記。叔母さんのスーツケースには金塊、泊まったホテルには警察が乗り込んでくる。そこにはユーモアとペーソス、さらに不正や冷酷さも描かれる。一筋縄ではいかない展開だ。演出・鵜山仁の手腕が試される。

21/11/15(月)

アプリで読む