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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる

村山 匡一郎

映画評論家、大学講師

粛清裁判

1930年11月25日から12月7日までソ連で「産業党裁判」と呼ばれる奇妙な公開裁判が開かれた。20年代後半から各産業分野でサボタージュや破壊活動をおこなったとして8名の技術者や経済学者が逮捕され告訴されたが、今日では30年代のスターリンによる大粛清の始まりを期した「見せしめ裁判」として知られる。そんな裁判を当時撮影したフィルムが発見され、それを素材にしたセルゲイ・ロズニツァ監督のアーカイブ映画である。裁判の途中に街頭デモをインサートしながら時間順に構成しているが、被告たちが素直に罪状を認める姿に不思議な印象を受ける。裁判官側にも被告側にも「見せしめ」としての共犯意識が透けて見えるようだが、傍聴する群衆の顔に刻み込まれた時代の空気が胸を締め付ける。

20/11/12(木)

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