Mr.ふぉるて（ミスター・フォルテ）は、稲生司（vo / g）、阿坂亮平（g）、福岡樹（b）、吉河波音（ds）の4人からなるロックバンド。2017年に東京で結成された男女4人組高校生バンドで、結成直後に制作された「口癖」のMVが話題になり、活動を全国に広げていく。個人の内面的不安と社会に対する不信を自分たちの言葉で描く作風は真摯で、今、信頼に値する数少ないロックバンドだ。 コロナ禍になって間もなく2年。日常生活にさまざまな制限が課せられ、音楽シーンも苦境にいる。特にライブハウスを主戦場にするロックバンドにとって事態は最悪で、この空白は今後のバンドシーンに深刻な影響を与えることだろう。Mr.ふぉるては昨年3月30日、恵比寿リキッドルームのワンマンライブをソールドアウトさせていた。が、直前で配信ライブに切り替えざるを得なかった。このとき僕は、初めてロックバンドの配信への決断を目の当たりにした。それでもスタッフにお願いして、“現場”で見させてもらった。最大規模のワンマンを奪われた若いバンドの様子を直に見て置きたかったのだ。4人は見えないオーディエンスに向かって全力を尽くし、感動的なライブとなった。その後、配信ライブは新しい日常になっていくが、この日のパフォーマンスは忘れがたいものとなった。 以降の1年半、Mr.ふぉるては政府の制限の隙間を縫うようにライブを行ない、新しい楽曲の制作に励み、最新作『Carpe diem』のリリースツアーのファイナルをTSUTAYA O-EASTで迎える。『Carpe diem』収録の「シリウス」は、♫輝ける場所を探している　彷徨いながら　ステージの上　縁の下♫と歌って、力強さと明るさを増している。Mr.ふぉるてはコロナ禍でも成長力を失わなかった。このバンドが牽引していく未来の音楽シーンを見てみたい。その原型がきっとO-EASTで披露されることだろう。

21/10/8(金)