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佐々木 俊尚

1961年生まれ フリージャーナリスト

象は静かに座っている

29歳で自ら命を絶ったフー・ボー監督のデビュー作にして遺作、そして上映時間は3時間54分。その情報だけでも「身構えて観なければいけない」という抑圧があるが、その抑圧を乗り越えても観る価値のある作品だった。自然光だけで撮影された薄暗い映像に、美しく静かに流れ続ける音楽。そのような音と絵とは裏腹に、緻密に構成された人間関係と隙きのないプロットに圧倒された。 大自然の荒野ではなく、人間の信頼が崩壊してしまっている現代中国という荒野を、4人の登場人物が何かを求めて歩んでいく。それはまるでガリラヤの荒れ地を彷徨うイエスと使徒たちのようで『象は静かに座っている』というタイトルとも合わせ、本作は神話のような物語である。もうこの監督の次作が観られることはないのかと思うと、たとえようもなく悲しい。

19/10/31(木)

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