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アートのみかた
村田 真
美術ジャーナリスト
大山エンリコイサム展 夜光雲
20/12/14(月)~21/1/23(土)
神奈川県民ホールギャラリー
グラフィティ(エアロゾル・ライティング)に触発された絵画制作にとどまらず、近年ストリートアートに関する本を立て続けに出している大山の大規模な個展。大山の作品の核となるのは、グラフィティ特有の流れるような線を分析・再構築した「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」のモチーフだが、今回は工業製品のように仕上げたQTSを整然と並べたり、飛沫や滴りも生々しいQTSを巨大展示空間にインスタレーションしたりと、変幻自在だ。ほかにも、草書体で書かれた和洋の手紙をつぎはぎして小さくQTSを書き込んだ絵巻状の作品や、空っぽのホワイトキューブにエアロゾルの噴射音を流してライティングを促すかのようなサウンド・インスタレーションなど、刺激的な個展になっている。
20/12/27(日)