俳優にどどまらずフィルムメーカーとして活動している齋藤工監督が、企画・原案・脚本・撮影・スチール・声・総監督を務めた作品。コンプライアンスという名のもとに自主規制が進んでゆくと日本はどうなるのか？　をオムニバス形式で描いてゆくのだが、最後の斎藤監督自身の1本が特に面白い。表現の自主規制の進んだディストピアを特撮を使わずに描いたSFだ。一見ばかばかしい内容なのだが、同じ業界にいる身としてバカにできないリアルさと怖さがある。主演は秋山ゆずき。『カメラを止めるな！』で注目された新進女優だが、思わず素が出てしまっているのではないかと思えるリアルな“キレ芝居”が楽しい。

20/2/17(月)