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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

アンティークの祝祭

カトリーヌ・ドヌーヴに一度だけインタビューしたことがある。1973年『モン・パリ』の宣伝キャンペーンで来日した折りのこと。当時29歳だったドヌーヴの美しさに圧倒された。心臓が波打ち、どんな内容だったのか記憶にないほど舞い上がった。ただ、「今は男性アクション映画全盛ですが、フランス映画は女優が歳をとってもそれに相応しい企画が用意されます」、という理知的な発言を鮮明に覚えている。 本作は、半世紀も前の彼女の言葉が真実だったことを証明するかのような女性映画。今では"フランスの至宝"とも呼ばれるドヌーヴと、実娘のキアラ・マストロヤンニが母娘役で共演している。監督は『パパの木』(10)、『バベルの学校』(13)などのジュリー・ベルトゥチェリ。 このところ意識がおぼろげになることが増えてきたクレール(ドヌーヴ)。「今日が私の最期の日」と確信した彼女は、長年かけて収集してきた家具、からくり人形、仕掛け時計、肖像画など数々のアンティークをガレージセールで処分することに。見事な品々の大安売りに、庭先はすぐにお客と見物人で賑わいはじめる。疎遠になっていた娘マリー(キアラ・マストロヤンニ)はそれを聞き、20年ぶりに母と対面する……というお話。 数々のアンティークに宿る人の思いと記憶をたどりながら、人生の哀楽を鮮やかにつぐみ出す、いかにもフランス映画的な人間ドラマだ。ティファニーやバカラなどの高級アンティークと仕掛け時計が数多く登場する。ギレルモ・デル・トロ監督が大喜びしそうな小道具も見どころだ。

20/6/4(木)

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