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水先案内人のおすすめ

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日本映画注目作を中心に、旧作上映まで幅広く

樋口 尚文

1962年生まれ 映画監督、映画評論家

オーシマ、モン・アムール

『少年』(4/3〜9) シネマヴェーラ渋谷「オーシマ、モン・アムール」(4/3〜23)で上映。 シネマヴェーラ渋谷で大島渚監督の回顧特集上映「オーシマ、モン・アムール」が始まる。その初日を飾るのが、大島監督の代表作のひとつ、1969年公開のATG映画『少年』。実在した子どもに「当たり屋」をやらせて示談金詐欺の行脚を続けた一家をモチーフにした珠玉の異色篇。この孤独の極限にある少年を、大島監督は子役ではなく養護施設にいた9歳の阿部哲夫少年に演じさせ、壮絶な表情を導き出した。迫真の演技ゆえ、海外の映画祭でこの映画を観たブルジョワの婦人たちはこの悲惨の極にある少年をぜひ引き取りたいと申し出るほどだった。しかし、この阿部哲夫少年は以後ぷっつりと姿を消し、観客たちは皆この子の将来がどうなったのかを案じた。ところが今回、その阿部哲夫さんが52年ぶりに『少年』上映の日に姿を現すことになった。この信じがたい機会に、ぜひ今の阿部さんから語られる『少年』の日々に耳を澄まそうではないか。

21/3/30(火)

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