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三鷹市芸術文化センターで、演劇・落語・映画・狂言公演の企画運営に従事しています

森元 隆樹

(公財)三鷹市スポーツと文化財団 副主幹/演劇企画員

カオルノグチ現代演技第二技『セイムタイム・ネクストイヤー』

その姿を初めて舞台で観たのはいつだったのか。おそらく今から20年近く前、新宿にあった小さな劇場で、舞台上を踏みしめるようして「ふんふんふん!」とエネルギッシュに走りまわっていた記憶が、朧げにある。その頃から彼女が舞台上で放つ『気』は、体の毛穴のそこかしこから、もう抑えきれないという感じで吹き出していた。今はまだ表面化していないものの、その煙の立ち方から近い将来の噴火が危ぶまれる活火山のような『気』。体はそれほど大きくないにも関わらず、彼女が舞台上で腕を組み、頬を膨らませて「ふん!」と息んだ(いきんだ)瞬間、その圧が彼女を何倍にも大きく見せる姿に、何度も息を飲み、演技を見続けてきた。 野口かおる。 時にはテレビで、時には映画で、そしてもちろん舞台で、それから何度も彼女の『気』を体感してきた。年月を経ても、いささかもパワーが落ちることなく、けれども演出家の意図を確実に表現できる演技力のもと、数多くの演出家が、彼女に大きな信頼を寄せてきたのは、確かであろう。舞台上で的確にセリフのパスを回すこともできれば、ストライカーに送る決定的なパスを出すこともでき、さらに一瞬で舞台を活性化させるシュートにまで持ち込むこともできる。そして、そのシュートの破壊力はとてつもなく凄まじく「キーパー一歩も動けず」というほどの決定力であり、観劇後に舞台を振り返った時に「野口さん、すごかったな」という感嘆のため息をついたことは、一度や二度ではない。 その、野口かおるが。 「演るまで死ねない」 「演ってから死にたい」 (いずれも本人談) とまで惚れ込んだ戯曲『セイムタイム・ネクストイヤー』を、自らのユニット、「カオルノグチ現代演技」にて、下北沢駅前劇場で上演。 高畑淳子×加藤健一によるロングランであまりにも有名であり、過去には小柳ルミ子×角野卓造、小川眞由美×橋爪功などの組み合わせなどでも上演されてきた、不朽の名作『セイムタイム・ネクストイヤー』。今回、野口かおる演じる〈ドリス〉の相手役〈ジョージ〉を演じるのは、 「今回は山岸門人さん演じるジョージとドリス、たった2人だけのお芝居。25年に及ぶ不倫の話でとても深く考えさせられる男女の物語。山岸門人さんは、ナーバスな色気があり演技がとてもセクシー。男性の魅力という意味では、突出した俳優さんだと思っております。ということで、わたしの中のドリスが細胞レベルで悦ぶジョージなのです。女優という獰猛な生き物の、一種の動物的なカンでございます。理屈じゃない関係性の2人の、『理屈じゃない理由』を拠り所に、この世界を演じてみたいと思います。」(野口かおる) と、野口の全細胞を震わせる山岸門人。そして演出には、俳優としての活躍は言うに及ばず、ロックバンド「氣志團」の伝説的マネージャーとしても有名な明星真由美を迎えるという、未曾有のケミストリー。 駅前劇場のキャパシティではとても収まらないのではと思われる程の『気』の膨張を、敢えて駅前劇場の空間で全身で受け止めるという、演劇的な大噴火の予感『セイムタイム・ネクストイヤー』。 最後に、野口かおるが自らのツイッター上に綴ったメッセージを皆様にお届けし、その『気』の満ちるのを、ぜひ、客席で体感していただければと思います。 <<<>>> 【紳士淑女の皆様へ】 皆様の持ち前の人生、数々の恋愛の想い出、犯した恋愛の過ち、「あの人に謝りたい」「昔の自分は狂ってた」「もう出家したい…」等のお気持ちを握りしめて、下北沢駅前劇場の椅子にお座りください!(野口かおる) <<<>>>

20/2/4(火)

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