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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

ミナリ

韓国からアメリカに移住したある家族の物語です。農業での成功を夢見る父と、その家族に様々な困難が押し寄せるというお話は必ずしも珍しくはありません。それにもかかわらず作品が注目されるのは、不慣れな新天地で時には家族が対立しながらも肩を寄せ合い前に歩んでいくという内容が、移民にとどまらず家族の切実な問題として多くの人々の共感を得たからでしょう。インドやジャマイカという複数のルーツを持つカマラ・ハリスさんがアメリカ副大統領になったことも、語られるべき移民の歴史が無視できないほどに大きな潮流となっていることを示しています。 『ミナリ』というタイトルは野菜のセリを表します。セリはたくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいと言われます。そんな子供世代の幸せのために親の世代が懸命に生きているという思いがこの作品に込められています。日本で言えば子イモがたくさん付き子宝に恵まれるからとおせちに愛用される里芋などは、もしかしたら映画のタイトルになるかもしれませんね。 『バーニング 劇場版』のスティーヴン・ユァンや『群盗』のハン・イェリ、『ハウスメイド』のユン・ヨジョンをはじめ、実の息子かと思わせるほどに自然な演技を披露したアラン・キムの怪演も印象深いです。

21/3/12(金)

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