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ホラー、ミステリー、トンデモ映画が大好物

春錵 かつら

映画ライタ―

アオラレ

このコロナ禍で、アンガーマネジメントの重要性が更に注目されている。 行為そのものは昔からあったが、もはや日常用語として定着した「アオリ運転」。昨年の6月からは厳罰化もされた「アオリ運転」も、きっとアンガー(怒り)がマネジメント(管理)できないことが原因だ。 本作は、『Unhinged』(狂的な、不安定な、の意)という原題のスリラーだが、『アオラレ』とはなんとも巧い邦題をつけたものだな、と感心してしまう。タイトルを目にしただけで、誰かが車で煽る内容であること、そして物語が執拗な性質を含んでいるということを一瞬で連想させるのだから。 日本の警察庁の2017年~2019年の統計によると、アオリ運転をした人のアオリ行為の理由は「進行の邪魔をされた」「追い抜かれた」などだが、約半数が思い込みだという。今までは「思い込みの約半数」ばかり気にしていたが、本作を観て私の頭に浮かんだのは、「思い込みじゃない方の約半数」だった。そうするとタイトルの『アオラレ』は途端に多面的になる。 本作で語られるのは「不作法の連鎖」であり、ひとつの厄難を通して「怒りを制御できない」「己を正当化する」といった現代社会における人々の不安定さを浮き彫りにしている。

21/5/20(木)

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