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水先案内人のおすすめ

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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

私は確信する

法廷劇は、どちらかと言えば静的だ。ただ、登場人物に派手な動きはないものの、飛び交うセリフや表情を通じて、スリルが醸成される。サスペンスと位置づけてもいいだろう。 実際の刑事裁判を基にした本作も、作中で触れられるヒッチコック映画のように緊張感に富んだシーンが続く。法廷という静粛な場面と、有罪か無罪のどちらかを決める設定があいまって、全編にわたって張り詰めた空気を強く実感できた。 2000年2月、仏南西部のトゥールーズで、38歳のスザンヌ・ヴィギエが家族を残して突然姿を消した。夫のジャックに殺人の嫌疑がかけられたが、犯行動機がわからず、遺体さえ見つからない状況で一審は無罪。しかし、検察が控訴し、二審が始まってしまう。一家の知人でジャックの無罪を信じるノラは、敏腕弁護士のデュポン=モレッティに弁護を依頼し、自らも事件の深層に迫っていく。 ノラを演じた女優マリーナ・フォイスと弁護士役の名優オリヴィエ・グルメが、シャンパンで乾杯するシーンが印象的だ。カチンとグラスを鳴らし、全く同時に杯を傾ける。セリフはないが、困難に立ち向かう決意と協力関係を結んだ打ち解けた心情が伝わってくる。映画らしい視覚の演出だ。

21/2/10(水)

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