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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎とか文楽とか…伝統芸能ってカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

歌舞伎座六月大歌舞伎

第一部の『御摂勧進帳』は初演が1773年、安永2年11月、江戸中村座での顔見世狂言だ。能の『安宅』を土台に、『暫』や『道成寺』を加味しており、現行の歌舞伎十八番の『勧進帳』とはまるで趣を異にする。 兄頼朝と不和になり、都を落ち行く源義経。武蔵坊弁慶らとともに山伏に姿を変えて奥州へと逃避行中。安宅の関で関守の富樫左衛門と斎藤次祐家らから詮議を受けるのだが・・・。 弁慶が安宅の席で捉えられ、いじめられて泣きべそかくなど、稚気あふれる面白さがある。またその後大暴れをして番卒の首を次々と天水桶に投げ込み、金剛杖で芋を洗うような動きを見せるので、この場面から通称「芋洗い勧進帳」とも。 初演当時は実悪の名手四世市川團十郎と、後に「御江戸の飾り海老」と称され江戸っ子のアイドル的存在となった息子の五世團十郎、そして四世松本幸四郎や大谷広治、四世岩井半四郎など腕っこきの役者達の競演で大評判を取った。 時はまさに江戸歌舞伎が大きく花開く時代。江戸ッ子たちの「待ってました!」のかけ声までも聞こえてきそうな、ちょっと荒唐無稽で、すこぶるおおらか、江戸時代の歌舞伎のエッセンスにあふれた荒事芝居だ。 大正期には二世市川猿之助が家の芸とし、1976年に二世尾上松緑がここに『暫』の場を加えて復活上演。今月は中村芝翫が武蔵坊弁慶をつとめる。

21/5/23(日)

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