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高松 啓二

1958年生まれ イラストレーター

ジョーンの秘密

2000年、イギリス郊外で80歳の女性が、スパイ容疑で逮捕される。彼女の名前はジョーン・スタンリー。1938年、彼女はケンブリッジ大学で物理を学んでいたが、第二次大戦が始まると原爆開発の仕事に就くが・・・。取り調べの過程で時代が交互し、彼女の人生が詳らかにされる。学生時代、共産主義者の彼氏の影響で会合に参加したり、親友と思っていた女友達が一番の黒幕だったりと知らないうちにソ連のスパイに近づいていくのが薄気味悪い。ただし、ジョーンが原爆の情報をソ連に提供したのは、彼氏でも金のためにでもなく本人の平和を願う信念だ。そのきっかけは広島、長崎への原爆投下の贖罪である。一昔前であれば彼女は悪役として描かれ、007の標的になったであろう。しかし、核抑止のおかげで冷戦時代に核戦争は起こらなかった。彼女の行動は祖国を裏切ったかもしれないが、平和には貢献したのかも知れない。そう思うとラストの声明文は考えさせられる。

20/8/7(金)

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