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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

くれなずめ

聞き慣れない、この題名は、日が暮れそうでくれない状態を意味する「暮れなずむ」を命令形にした造語。「日が暮れろ」でもなく、「日が暮れるな」でもない。分かったような、分からないような……。でも、映画を観ると、「それが答えだ」(主題歌はウルフルズ)とばかりに伝わってくる。 『バイプレーヤーズ』の松居大悟監督による青春群像劇には、今をときめく若手が結集。成田凌、高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、さらに、松居監督とともに「劇団ゴジゲン」を立ち上げ、映画『アルプススタンドのはしの方』では教師役を演じた目次立樹が出演した。 友人の結婚式で再会した高校時代の帰宅部の仲間たち。アラサーを迎えた彼らは、かつて文化祭で披露した赤フンダンスを余興で見せる……。二次会までの合間に、近況やしょうもない思い出を語る。しかし、一つおかしいことが。そう、その仲間の一人はこの世にいないのだ。 原作は「劇団ゴジゲン」の演目で、ストーリーの源泉は友人を亡くした個人的な経験が基。熊本県出身の行定勲監督がディレクターを務める「くまもと復興映画祭2021」(4月16〜18日)ではオープニング作品として上映され、熱狂的な拍手で迎えられた。松居監督は「プロデューサーから『ぜひ映画に』と言われて作ったが、個人的な話をこんな風に広げていいものか」と戸惑いもあったというが、きちんと普遍的な青春ストーリーになっている。 かつてバカをやった仲間と結婚式や同窓会で再会する。こんなことは誰もが経験したことだろう。その中で湧き上がる喪失感、なんとも言えない思いは誰しもが経験している。 ラストは単なるウエットに終わらず、あっと驚く展開が待っている。そこに好き嫌いは出るかもしれないが、そこが松居テイスト。舞台と同じことを映画でもあえてチープな感じで再現している、とのこと。6人の男子同級生役がそれぞれにいい味を出し、脇も豪華。 女性キャストでは、前田敦子が好演。出番は少ないが、しっかり泣かされた。

21/5/12(水)

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