生来の音痴のせいもあって、音楽には疎く、ましてやクラシックをめぐる国際ピアノコンクールを舞台にした映画の世界に入っていけるのか、後(しり)込みしていたのですが、それは杞憂にすぎず、どんどんのめり込んでいけたのだから、これは大したものだと感心させられました。音楽ファンが観たら、もっと面白く思えるかのかどうか、興味津々。史上初、直木賞＆本屋大賞を受賞した原作の力も大きいのでしょうが、劇場用映画二作目にして、約2時間の上映時間の中で、これだけ観応えのある作品に仕上げた石川慶監督の演出力にも舌を巻きました。4人の若きピアニストたちの群像ドラマに安易な恋愛模様をからめたりせず、音楽に向きあう真摯な姿勢を描いて秀逸。中でも松坂桃李演じるコンテストに年齢制限ぎりぎりのキャラクターの共感でき、脇の登場人物も念入りに描かれているのがエライ。

19/10/1(火)