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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

人気再燃★昭和の大衆小説をスクリーンで 獅子文六ハイカラ日和〈モーニングショー〉

『箱根山』(11/15〜11/22) ラピュタ阿佐ヶ谷 特集「獅子文六ハイカラ日和」(9/1〜11/30)で上映。 今秋の台風19号で甚大な被害を受けた箱根。その観光開発に明け暮れた箱根の戦後史は、企業戦争の歴史でもあると何かの本で読んだことがある。 1947年(昭22年)からの五島慶太会長を頂点とする東急・小田急グループ(当時)と堤康次郎会長率いる西武グループの箱根観光開発事業の争いは"箱根山戦争"と呼ばれた。朝日新聞が獅子文六『箱根山』の連載を始めたのも、両陣営のトップがそれぞれ"強盗慶太""ピストル堤"といった異名を持つカリスマ経営者の戦いが注目を集めたからだ、というその本の解説に得心した。 川島雄三が監督した本作の舞台は文字通り、その箱根。前記の二大交通系企業の対立を後景に、その縮小版としての二大老舗旅館の対立が前景になっている。 玉屋と若松屋というふたつの旅館は150年もいがみ合ってきた歴史があった。玉屋の使用人加山雄三と若松屋の一人娘星由里子はお互いに惹かれ合いながらも、旅館同士の確執で揺れ動いている。箱根版『ロミオとジュリエット』というべき物語だ。 川島雄三は本作が公開された1962年には、若尾文子主演三作品のうちの『雁の寺』と『しとやかな獣』 (もう一本の『女は二度生まれる』は前年作品) も作っていて、乗りに乗っていた時期。コメディともロマンスともいえない不思議な感触の演出が、冴え冴えとしている。 キャスティングも凄い。ふたつの旅館の主人に東山千栄子と佐野周二、その他、西村晃、藤原釜足。"箱根山戦争"に絡む政財官界人に東野英治郎、小沢栄太郎、中村伸郎、森繁久彌などなど。この顔ぶれだけでも、一見の価値ありだ。

19/11/13(水)

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