Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

一度逃したら再び観る機会がないかもしれない、ちいさな芝居を中心に

釣木 文恵

演劇ライター

五反田団『五反田怪団2019』

正月は工場見学会(という名のおたのしみ公演)、夏は五反田怪団。毎年のように手の込んだイベント的な公演を打ってくれる五反田団。『五反田怪団』はその名の通り怪談をベースにした公演なのだが、ただ怖い芝居というわけではない。基本はそこに集った俳優たちのトークといったかたちで、理由のわからない話とか、怖いというより笑ってしまうような話とかが百物語的に繰り広げられていく。去年でいえば、印象深いのは主宰の前田司郎がさも恐ろしそうに語る、「ばけもの」が登場する怪談。聞いていくうちにそれがジブリ映画のキャラクターを描写していることがわかる……といった具合。 怪談・オカルト研究家の吉田悠軌が参加しているところが見応えをましている。彼の経験談がじっくりと語られ、本格的に怖い瞬間もあるのが、ただの「怪談のふりのおもしろイベント」とは一線を画している。そしてまた、体験を再現するくだりで、彼が俳優以上に没頭して演技をしている姿がおもしろい。 今回は「究極の怪談vs至高の怪談」だという。その設定の時点でもうばかばかしい。ばかばかしいものを、演技の部分をおろそかにしないで真剣にやる、というのは五反田団の魅力のひとつだと思うのだが、『五反田怪団』はその真髄が楽しめる公演だと思う。

19/9/7(土)

アプリで読む