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平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

AWAKE

昨今の将棋ブームに乗って、数多くの映画が作られる中、新たな傑作が誕生した。プロの道を断念せざるを得なかった棋士志望の若者(吉沢亮)が将棋プログラムの開発に新たな夢を見つけ、かつてのライバルだった棋士(若葉竜也)に勝負を挑む物語。2015年に、AIと棋士が対戦した「電王戦」がモチーフになっている。 題材はデジタルだが、中身はアナログ。これが実に人間くさく、深く感情が揺さぶられる。主人公の英一は将棋一筋の若者。しかし、同年代との厳しい競争に破れたことで、棋士の夢を諦め、同年代よりも遅れて大学に進学。そこで、コンピュータ将棋に触れ、プログラミング開発に力を注ぎ、苦労の末にAIプログラム「AWAKE」を開発。やがて、「電王戦」への出場を依頼される……。   本作は、応募総数241から選ばれた「第1回木下グループ新人監督賞グランプリ」受賞作。脚本・監督の山田篤宏氏はニューヨーク大学で映画を学び、乃木坂46のMVなどを手掛けてきたそうで、本作が商業デビュー作となる40歳の遅咲きの新人監督。おそらく自身の苦労が主人公や物語に投影され、映画の血や肉になっているのだろう。 吉沢、若葉ともまなざしの演技が素晴らしく、どちらも魅力的。ラストシーンまで目が離せない。年末公開のため、忘れられがちだが、来年の映画賞の候補に挙げておきたい。まずはデビュー作での傑作誕生に拍手を贈りたい。

20/12/24(木)

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