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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

ミス・マルクス

かのカール・マルクスに3人の娘がいたことは知っていたが、それぞれがどんな人なのかは、知らなかった。 この映画の主人公は末娘のエリノア・マルクス。 映画は父カールの葬儀のシーンから始まる。エリノアは父の秘書のような仕事もしていた。そして、社会主義運動のリーダーのひとりでもある。労働者の待遇改善、女性の権利拡張などの運動をしている。19世紀後半の劣悪な労働環境がリアルに描かれる。 100年たって、子供の労働など改善されたこともあれば、女性の権利など、今もなお残っている問題もある。 一方、エリノアは既婚の劇作家とも関係を持ち、その破滅的な愛も描かれる。 知らないことだらけなので、こんな人がいたのか、こんなことがあったのかという驚きの連続で、飽きさせない。当時の映像もはさまれ、史実だと強く印象付ける。 音楽は、アメリカの気鋭パンクロック・バンド「ダウンタウン・ボーイズ」の曲が使われたり、ショパンやリストの曲がアレンジされるなど、凝っている。 考えてみれば、ショパンやリストとマルクスは同時代人なのだ。そこから何を読み取るか。

21/8/4(水)

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