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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎とか文楽とか…伝統芸能ってカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

歌舞伎座十二月大歌舞伎

十二月大歌舞伎『ぢいさんばあさん』。森鴎外原作、宇野信夫作の新歌舞伎の一幕だ。ちょっとユニークな題名なのも目を引く。 江戸番町に住む美濃部伊織は、妻るんの弟で喧嘩で負傷した宮重久右衛門の身替りとして京都へ単身赴任することになる。 ところが京の料亭で伊織は、意地の悪い友人下島甚右衛門をはずみで誤って斬ってしまう。越前有馬家にお預けとなり、一方るんは筑前黒田家に奉公へ上がることに。 それから37年後の番町に、罪を許された伊織が戻ってくる。この間家を守っていたのは久右衛門の息子久弥と、その妻きくの若い夫婦。そして懐かしいその家で、るんと伊織は無事再会を果たして……。 しみじみとしたふたりの深い愛情を感じさせる作品で、今回は中村勘九郎の伊織、尾上菊之助のるんというコンビ。父・十八代目中村勘三郎の伊織と坂東玉三郎のるんで、勘九郎も宮重久右衛門を勤めており、また菊之助も父・尾上菊五郎がるんを勤めた際にきくを勤めている。若い時分の夫婦の姿から、老いたふたりに通うやさしい愛情まで、活躍盛りのこのふたりが挑戦する。 若いころのふたりはもちろん、銀髪となってからのるんと伊織はなにしろ美しくて神々しいほど。これぞ歌舞伎の醍醐味だ。「歌舞伎役者は、どんな場面でも、どんな時でも、まずは美しく見せなければならない」という、あるベテラン俳優の言葉を思い出す。

21/11/22(月)

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