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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

リチャード・ジュエル

「衰えを知らぬ」とは、この巨匠のためにある言葉だろう。今年5月に90歳を迎えるクリント・イーストウッド監督。晩年になれば、製作ペースが落ちてくるのものだが、イーストウッド監督は(いい意味で)どうかしている。『ハドソン川の奇跡』(2016年)、『15時17分、パリ行き』(17年)、『運び屋』(18年)と4年連続で年1本ペース。しかも、イーストウッド映画に外れなし。 近作は実話路線だが、本作も1996年のアトランタ五輪関連の音楽イベントで起こった爆破事件が題材。主人公は警備に当たっていたリチャード・ジュエル。不審物を発見し、警察に通報したことで多くの観客を救う。一躍、英雄としてマスコミに扱われるが、「FBIがジュエルを有力な容疑者として見ている」という実名報道がきっかけで、疑惑の目を向けられてしまう……。 USエアウェイズ1549便不時着水事故を取り上げた『ハドソン川の奇跡』も英雄と讃えられたパイロット(トム・ハンクス)が一転、国家運輸安全委員会 の追及を受けるストーリーだったが、本作の主人公は一見してヒーローっぽくない。演じたのは『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』でうさんくさい友人役を好演したポール・ウォルター・ハウザー。体型はわがままボディーだし、あまりある正義感のせいで、クセが強い。これまでのイーストウッド映画の英雄の中でも、変わり種だろう。 しかし、そんな彼が汚名を着せられるから、ただ事ではないと思え、最後はすっかり感情移入させられてしまう。出色なのはオスカー女優のキャシー・ベイツ。息子の無実を信じる母役のまっすぐな気持ちには泣かされてしまう。法廷ものでもあるので、サスペンスが好きな方も楽しめるはず。東京オリンピック開催前に観るべき作品。あってはいけないマスコミによる冤罪。しっかり自戒としたい。

20/1/13(月)

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