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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

エクストリーム・ジョブ

刑事の内偵ものながら韓国で1600万人の観客を動員し歴代興行収入ナンバーワンを達成した作品と聞けばちょっと気になります。 ご存じのように刑事ものの映画は韓国でも毎年のように制作されています。そんな中で本作に出演し日本でも名の通ったスターといえば『復讐者に憐れみを』のシン・ハギュンや『王になった男』のリュ・スンリョンぐらいでしょうか。どちらも2枚目のビッグスターではありません。 この作品は俳優の人気に頼るのではなく演技力、それも奇想天外なストーリーに自身を違和感なく同調させることのできる柔軟な演技能力が求められました。コメディで定評のあるイ・ビョンホン監督が用意した脚本がとにかくユニーク。捜査の実績最悪で解散寸前に追い込まれた麻薬捜査班が犯罪組織のアジトを監視するため、なんと通りの真向かいにフライドチキンの店を偽装開業します。 ところが秘伝のたれを使うカルビ味チキンが大評判となり行列ができるほど繁盛。アジトに怪しい男が出入りしても店が多忙で追跡できないというジレンマに陥ってしまいます。やがて自分は刑事なのかそれともチキン店スタッフなのかと思い悩むようになり……。 体裁は内偵ものですが、お笑い満載で、しかもグルメ通にも満足してもらえるよう揚げたてのチキンが繰り返し登場し観客の唾液腺は刺激されっぱなし。さらに偽装開業の費用は班長が退職金を前借りしてと泣かせます。ジャンルをまたがる基本構成の上に感情をくすぐる小ネタが積み上げられ、初笑いにはピッタリです。

20/1/1(水)

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