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Tak

美術ブロガー

ピーター・ドイグ展

「記憶の引き出しが刺激される絵画」 ピーター・ドイグ(Peter Doig、1959年~)は現在、世界で最も注目され重要視されているアーティストのひとりです。現代絵画によくある何が描いてあるのか分からない「無題」作品とは違い、彼の作品は人物や風景など具体的なものばかりです。ダミアン・ハーストに代表されるヤング・ブリティッシュ・アーティスト(Young British Artists; YBAs)と称されるコンセプチュアルアーティストたちとは明らかに一線を画する作品を描いています。これもドイクが高く評価される点のひとつですが、それ以上に多文化的な表現を盛り込んでいるのことが、現代の時代背景と非常に親和性があり彼が推重される最も大きな点といえます。ドイクがこれまで暮らした幾つかの国々の文化をはじめ、大衆的な映画や音楽を作品にさり気なく取り入れています。懐かしさを感じるけど、誰も見た事ない、そんな情景が大画面に展開されているのです。あまりの情報量の多さに、一枚の作品鑑賞に費やす時間が他のどの作家よりも多くなるかもしれません。現代アートでは珍しい現象といえます。具体的な場所やパーソナルな経験を描いてないので、多くの人の心に響くのです。尤もこれだけでドイクの魅力を十全に語れたわけではありません。一画面における物質的要素の違いを駆使しており、物理的に知覚しないと良さが分かりません。記憶の引き出しをチクチク刺激受けながら絵の前で格闘してみましょう。

20/6/13(土)

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