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水先案内人のおすすめ

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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの

佐藤 久理子

パリ在住、文化ジャーナリスト

ブラックバード 家族が家族であるうちに

この映画を観る方は、安楽死をテーマにした家族の尊いドラマを期待されているだろうか。自ら安楽死を選ぶ母の決断を前に動揺する一方で、それを尊重したい気持ちの狭間で揺れる、残される側の者たち。 たしかに彼らが苦悩を乗り越える感動的な話に違いないが、本作はそれだけではない。実はもっと複雑で、身勝手な人間のエゴがせめぎ合う黒い物語だ。映画が進むとともに家族の秘密が明らかになり、その秘密はこれまで見えていた“穏やかな家族の肖像”を覆すほどの威力がある。そこに唸らせられる。 『ノッティングヒルの恋人』や『私が愛した大統領』で知られるベテラン、ロジャー・ミッシェル監督の手腕は揺るぎない。母親役のスーザン・サランドンを筆頭に、ケイト・ウィンスレット、ミア・ワシコウスカら女優たちのパワフルな競演にも魅せられる。

21/6/10(木)

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