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水先案内人のおすすめ

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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

劇場

どっぷり感情移入して、胸が苦しくなってしまった。こんな気持ちにさせられたのは久しぶり。夢ばかり大きくて、ぞんざいだった20代の自分の姿を見せられたようにも思えたのだ。 行定勲監督が、又吉直樹氏の同名小説を山﨑賢人と松岡茉優主演で映画化。劇作家志望の青年・永田(山﨑)と、彼を献身的に支える女優の卵・沙希(松岡)の物語。 山﨑が演じるの永田は、従来の演劇を全否定し、自分こそが新しい演劇を見せられると信じている。そんなものは幻想にすぎないのだが、恋人はただただ彼氏を信じ、自分の夢も諦めて、献身的に尽くす。 しかし、永田は恋人の気持ちを利用し、荒っぽく扱ったり、時に激しく嫉妬をする。本当は愛しているのに、ちゃんと表現できない。自分の夢も成し遂げられない。そのどうしようもない気持ちを、全て恋人にぶつける。それでも、沙希はそんな永田をきちんと受け止める。 ああ、なんというラブストーリーなのだ! 難病ものの、安っぽい設定の恋愛ドラマとは違う、生きた男女の地べたの物語。あろうことか、クソいまいましいまでに、永田の気持ちが分かってしまう。行定監督は成瀬巳喜男監督の名作「浮雲」のダメ男(森雅之)のような人物を作り出したかったのだという。そのダメっぷりは、この永田のほうが切実かもしれない。 こんなダメ男に深く共感してしまう自分も、やっぱりダメ人間なんだろう。若い時分の昔の恋人に連絡を取って謝りたくなるくらいの心の乱れようだ。しかし、それこそが最悪のダメ男だろう(笑)。とにかく、それくらいまんまとやられてしまった。主演の2人が素晴らしすぎる。 もちろん、苦しいだけの映画ではない。最後はちゃんと映画ならでは、の仕掛けで救ってみせる。本作はAmazon Prime Videoでの配信と全国20館のミニシアター公開。コロナ禍、自宅で安心して観られるのもうれしいし、映画館でも観ることもできる。この作品はもちろん、映画館で観るべき映画。思いっきり感情を揺さぶられてください!

20/7/14(火)

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