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水先案内人のおすすめ

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パール兄弟、作詞家、プロデューサーとして、音楽を中心に活動中

サエキけんぞう

ミュージシャン

バオバオ フツウの家族

今最もヴィヴィッドな愛の形に大胆に取り組んだ映画。ミステリアスに始まる冒頭から「一体、彼らはどうなるのだろう?」と予断を許さないサスペンス的な進行をする。 ロンドンに暮らし、赤ちゃんを切望する女性2人のカップル、ジョアンとシンディがチャールズとティムの男性カップルと協力して妊活をスタートするという現代的な展開。 女同士、男同士の愛を知らない人にとってもとてもスリリングで共感のできる内容を持っている。台湾、ロンドンと2つの地で、体感を重視したスピード感あふれるコマ割と風景描写を可能にした監督、シエ・グアンチェンの力量も素晴らしい。 フランス人の父と日本人の母親のハーフのエミー・レイズ(主人公シンディ役)の好演が中々に衝撃的で、性の狭間で揺れる不安を分かりやすく体当たりで表現している。その恋人役で江波杏子似のクー・ファンルー(ジョアン役)のクールな表情も魅力的で、レズビアン世界の性の奥行きを良く表現している。 現在台湾で活躍中で、脚本家として賞も受賞している日本人、蔭山征彦(チャールズ役)も繊細に揺れるゲイの振る舞いについてこだわりの表現をしており、その国際的な活躍が頼もしい。 英国ロケでは、監督が好きだというデヴィッド・ボウイの生誕地をロケで使ったり、肖像を効果的に使われ、ボウイを通して国際性を出すことに成功している。アジア発で、人類に普遍的な性の最前線を扱う本作の登場は事件かもしれない。

19/10/12(土)

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