話題の映画『MINAMATA ミナマタ』で描かれる公害・水俣病は半世紀前の話だが、この映画は今も続いている公害を、その加害者である巨大化学メーカー・デュポンの実名を出して「実話」として描く。こういうのを見せられると、なんだかんだ言っても、アメリカはすごい国だ、それに比べて日本は……と思ってしまう。 公害告発の映画だが、エンタメ映画として作られているので、ストーリーは波乱万丈で、飽きさせない。デュポンと戦う弁護士のヒーロー映画でもある。 前半は、牧場の牛が相次いで病死し、それは工場の廃棄物で土壌が汚染されたからではないかという仮説を実証していく、犯人探しミステリー。やがてデュポンのせいだという疑いが濃くなり、さらに多くの人が健康被害を受けていることも分かってくる。このあたりの恐怖の拡散はサスペンスフル。テフロン加工のフライパンを使ったことのある人は、ぞっとして気分が悪くなるかもしれない。 世界的大企業の非情さがいやというほど分かる。 この映画は、闘いの中間報告に過ぎない。

21/11/22(月)