Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

デッド・ドント・ダイ

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984年)などで知られるインディペンデント映画の雄ジム・ジャームッシュ監督が、ゾンビを撮るとは思わなかった。監督は、インタビューで「ゾンビは、お互いへの思いやりや意識を失うことへのメタファーだ」と語り、現代人の振る舞いが「ゾンビ化している印象があるからだ」と撮影動機を語っている。ゾンビ作品はこれまで何本も製作されてきたが、メッセージを込めやすいキャラクターとして、映画作家にはこの“生ける死体”が魅力的に見えるのだろう。 舞台はアメリカの田舎町。自然に囲まれた長閑な町だが、夜の時間帯になっても辺りが明るいなど奇妙なことが続いていた。ある日、町のダイナーで経営者と店員が惨殺死体で発見される。現場に臨場した警察署長のクリフ(ビル・マーレイ)と巡査のロニー(アダム・ドライバー)は内臓が飛び出た死体を見て……。 蘇ったゾンビに住民が次々に襲われていく様子が、シリアスかつコミカルに描かれる。特にコーヒーを求めて惨劇を起こしたゾンビがユーモラスだ。生前の物欲に執着して歩くゾンビたちの姿は、監督が言うように「自分のことしか考えられなくなっている」現代社会を想起させる。

20/6/6(土)

アプリで読む