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水先案内人のおすすめ

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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

少年の君

映画の冒頭と最後でいじめの防止を呼び掛ける異例のメッセージが紹介されます。それじゃあ、この作品、主にいじめ問題を告発する教育映画なの?と思ってしまいますね。確かにそのような面があることは否定しません。でも見終わっての感想は、中国の進学校に通う優等生の少女チェン・ニェンと不良シャオベイとの純愛物語ともいえるし、二人が巻き込まれる殺人事件の謎を解いていくサスペンスとしても堪能できる第1級の娯楽作です。 それにしても学費捻出のため犯罪まがいの商売をしている母親以外に身寄りのないチェンは級友から執拗にいじめを受けます。また進学実績を上げたい教師たちは受験会場で生徒に檄を飛ばします。何事にも競争をあおらないではいられない現代中国の闇がよく描かれていると言ったら言い過ぎでしょうか。 殺伐とした空気を吹き払うように作品の純度を高めているのは主演の二人です。『ソウルメイト 七月と安生』でチョウ・ドンユイとタッグを組んだデレク・ツァン監督が今作で再び彼女を指名。他人の人生をもてあそぶ傲慢さの演技が印象的だった彼女から、今作ではボロボロに殴られても魅力的で強さと儚さを併せ持つ少女の演技を引き出しました。相手役のシャオベイを演じたアイドルグループ「TFBOYS」のイー・ヤンチェンシーもまたいい味を出しています。

21/7/8(木)

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