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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家
野村 正昭
映画評論家
マーメイド・イン・パリ
21/2/11(木)
新宿ピカデリー
ディズニーの長篇アニメーション『リトル・マーメイド』(89) や、ロン・ハワード監督の佳作『スプラッシュ』(84) を引き合いに出すまでもなく、映画と人魚の相性は、なかなか良いのだが、『マーメイド・イン・パリ』もその一本。マチアス・マルジウ監督は、映画化に至るきっかけを「2016年のパリの洪水で、魚やカモたちがセーヌ川の土手にあがっていたことだ。(略)キャットフィッシュが発見されたとき、人魚を作りたいと思った」と語っているが、過去の失恋で恋する感情を捨てた主人公ガスパール(ニコラ・デュヴォシェル)と、人間から我が身を守るため、魅惑の歌声で恋に落ちた男性の心臓を破裂させる人魚ルラ(マリリン・リマ)の出会いは、スリリングかつファンタジックだ。冒頭のストップモーション・アニメも素晴らしい出来栄えで、作者の才気を感じさせる。
21/2/9(火)