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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる
村山 匡一郎
映画評論家、大学講師
ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ
20/10/2(金)
シネスイッチ銀座
ことし3月に、エミール・クストリッツァ監督『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』が公開されたばかりだが、本作は田部井一真監督によるホセ・ムヒカ元大統領を描いたドキュメンタリーだ。もとはテレビ番組から始まった企画のようだが、監督自身がウルグアイに直撃取材し、ムヒカ元大統領の生き方に惚れ込み、彼の来日を背景に映画化することになった。そのためか、クストリッツァの作品がムヒカの波乱に富んだ人生に焦点を当てていたのに対し、ここでは来日を含めたムヒカの現在とその考えが前面化され、日本人が忘れがちな自然や世界についてのムヒカの言葉が尊重されている。豊かな生活とは何か、生きるとは何か、という問いかけをムヒカの姿を通して訴えかける思いが伝わってくる。
20/9/30(水)