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洋画、邦画、時々アニメ 映画で人生が変わります

堀 晃和

ライター&エディター。記者歴27年、元産経新聞文化部長。映画と音楽と酒文化が守備範囲。

ポルトガル、夏の終わり

「目は口ほどに物を言う」。映画を観ていると、このことわざが頭に浮かぶことがある。言葉に出さなくても、目の表情や視線で思いは表現できる。仏ヌーベルバーグのエリック・ロメール監督の作品が好例だろう。本作も、登場人物の目の動きや仕草で心のありようを豊かに描き出す。 余命を悟った女優のフランキーは夏の終わり、ポルトガルの避暑地シントラに、家族や友人らを呼び寄せる。現在の夫に元夫、実の息子、義理の娘……。それぞれに“過去”を抱えた大人たちが、フランキーのもとで人生を見つめなおす。 『海辺のポーリーヌ』(1983年)などのロメール作品を研究したというアイラ・サックス監督は、カットを極力割らずにフランキー役のイザベル・ユペールら俳優たちの自然な演技を美しい風景とともにとらえた。この長回し撮影の効果で、作品の中の濃密な空気がスクリーンを透過し、観る者に迫ってくる。 舞台となったシントラは世界遺産に登録され、19世紀の英詩人バイロンが「この世のエデン」と称賛した古都。森の緑に加え海の青といった鮮やかな色彩も本作の大きな魅力だ。時間とともに変化する自然光に注視してほしい。大西洋に沈む幻想的な夕日の光景が胸を打つ。

20/8/12(水)

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