2008年に“ローリング・ストーン”誌で「史上最高のヴォーカリスト100人」という特集を企画した際、堂々の1位に選ばれたアレサ・フランクリンが1972年1月13日と14日の2日間、ロサンゼルスのニュー・テンプル・ミッショナリー・バプティスト教会で行った伝説のライヴが49年の時を経て、ライヴ・ドキュメンタリー『アメイジング・グレイス』としてスクリーンに蘇る。 これが凄い。第1夜は「ホーリー・ホーリー」をはじめたっぷりと名曲「アメイジング・グレイス」が歌いあげられ、圧巻の歌声に観客はもうトランス状態。第2夜もピアノの弾き語りの「生命は永遠に」などの曲に心奪われるゴスペル・コンサートはどこか神がかってさえいる。惜しくも2018年に76歳でこの世を去ったアレサだが、彼女は“ソウルの女王”というより“歌の神様”だ。90分間、観終えた時の心地良い疲労感はその熱量に打たれたからだろう。

21/5/25(火)