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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

在りし日の歌

『哀愁』や『二十四の瞳』といった名作を挙げるまでもなく、『蛍の光』が効果的に使われている映画には良心作・佳作が多い。 『在りし日の歌』ではその『蛍の光』が、 “時が流れても 変わらない友情や愛情”という中国語歌詞で歌われている。 時代背景は、中国の改革開放後の“一人っ子政策”が進む1980年代から2010年代までの、約30年間。出会いと別れを繰り返すふたつの家族が描かれる。 中国北方の国有企業で働く仲の良い2組の夫婦は、1980年代初頭の同月同日に共に男の子を授かる。その後、片方の主婦・詠梅(ヨン・メイ)は2人目の子供を身籠るが、「独生子女政策(一人っ子政策)」によって強制的に堕胎させられた上に、手術の失敗で二度と妊娠できない体になってしまう。この不幸に追い打ちをかけるように、一人息子を水難事故で亡くしてしまう。 それからの苦難に充ちた30年間。歴史に翻弄される夫婦の軌跡が淡々と描かれていく。 第69回ベルリン国際映画祭で、その夫婦を演じた王景春(ワン・ジンチュン)と詠梅(ヨン・メイ)が最優秀男優賞&女優賞をW受賞して話題になったのはまだ記憶に新しい。 監督のワン・シャオシュアイは、1966年、中国・上海生まれ。93に『冬春的日子』 (英BBCの「21世紀に残したい映画100本」に『覇王別姫』とともに選出された) でデビュー。98年『ルアンの歌』(カンヌ国際映画祭)、01年『北京の自転車』(ベルリン国際映画祭)、05年『青紅』(カンヌ国際映画祭)、08年『我らが愛にゆれる時』(ベルリン国際映画祭)などでカンヌやベルリンで注目されている国際派監督だ。 本作のように真正面から“一人っ子政策”を描くのは中国映画史の中でも稀有なこと。人口十数億を抱える大国の食糧政策の一環から始まった“一人っ子政策”が、いかに非人間的なものだったかがひりひりと伝わってくる佳作だ。

20/4/3(金)

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