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いつも劇団四季と宝塚と歌舞伎を上演中の劇場にいます

原田 順子

演劇ライター

浅利慶太追悼公演『思い出を売る男』

昨年7月に亡くなった、劇団四季元代表で演出家の浅利慶太氏を偲び、今年4月から自由劇場で行なわれてきた浅利慶太追悼公演の第5弾で、一連の公演の掉尾を飾る『思い出を売る男』です。 浅利氏をはじめ劇団四季の創立メンバーが師と仰いだ劇作家、加藤道夫が遺した小品で、1992年に劇団創立40周年記念公演の一環として初演された時は、演出を手がけた浅利氏のほか、照明の吉井澄雄、出演者の日下武史、水島弘、井関一と、創立メンバー10人のうち5人が名を連ねました。さらに、浅利、日下とは慶應高校時代の同窓で、共に加藤道夫を慕っていた作曲家の林光が、旗揚げ公演以来40年ぶりに四季作品の音楽を担当したという、特別な思いが込められた作品なのです。 第二次世界大戦直後、焼け跡と化した街の裏通りで、灰色の壁を背に、サクソフォンを吹き、手回しオルガンを鳴らしながら、道行く人に“思い出”を売る復員兵姿の青年。薄暗い背景に、辛く悲しい過去を背負った登場人物たちと、一見重苦しいイメージですが、たくましく生きる市井の人々の姿に、希望と清々しさが感じられる珠玉の舞台だと思います。

19/12/14(土)

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