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古今東西、興味のおもむくままに

藤原えりみ

美術ジャーナリスト

大山エンリコイサム―Kairosphere

グラフィティの影響を受けつつ、絵画的な要素としての線と鋭利な形態のモティーフ「クイックターン・ストラクチャー」(以下QTS)による作品を発表してきた大山エンリコイサム。墨によるモノクローム・ペインティングだが、背景となる彼の身体の動きを定着させた自由闊達な線が空間的な広がりを獲得し、明確な構造体としてのQTSとの拮抗が心地よい緊張感を生む。ライヴ・ペインティングで制作される背景は素早く描かれた円や曲線で構成されたものだが、QTSは息詰まるほど緻密な手作業の積み重ねによって完成する。こうした手法の重層性が、近寄って細部を見るときと距離を置いて全体を眺めるときとで異なる視覚効果を生む。その交感が快い。高校時代のスケッチから大学の修了制作作品、横9mを超えるダイナミックな新作まで、コンパクトながらこの10年間の展開をたどる展示となっている。 ちなみに山梨県小渕沢の中村キース・ヘリング美術館でも「VIRAL 大山エンリコイサム」個展を開催中(2019年5月18日〜11月17日)。ヘリングの地と図が入れ子になったような平面作品と大山作品との共振が展示空間を活性化させている。

19/6/22(土)

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