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古今東西、興味のおもむくままに

藤原えりみ

美術ジャーナリスト

眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで

2010年から5年ごとに開催されてきた、国立美術館(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、国立新美術館、国立映画アーカイブの6館)の所蔵品による展覧会の第3弾。誰もが体験する「眠り」の時間への考察を通して、夢とうつつ、生と死、精神の眠り(怠惰)と覚醒、内面への沈潜をテーマに、序章から終章まで全7章で構成されている。 序章「目を閉じて」では、オディロン・ルドンやペーテル・パウル・ルーベンス、海老原喜之助、河口龍夫など。第1章はゴヤの《理性の眠りは怪物を生む》から始まりルドンや瑛九、台湾で働く移民労働者の夢語りをとらえたジャオ・チアエンの《レム睡眠》。第2章では「眠り」と死との関連性に言及する小林孝亘や内藤礼、塩田千春。第3章は、軍国主義体制に対する無言の抵抗を秘めた作品群と三島由紀夫に扮した森村泰昌作品。第4章では、ダヤニータ・シンによる図書館や博物館などの保管室で眠りから目覚める日を待つ文化財の写真作品。第5章は河原温作品のみで構成され、終章では再び「目を閉じて」瞑想する人々の姿が現れる。 全章を繋ぐのは、スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤの版画作品《ロス・カプリーチョス》だ。私たちは、波乱の時代を生きたゴヤの人間社会に対するシニカルな眼差しに導かれて、各章の展示に誘われていく。テロや内戦、コロナウィルスによるおびただしい死にとりまかれた日々ゆえか、会場には熱心に作品と向き合う人々の内なる張り詰めた感情が漂っているようだった。なかでもチアエンの《レム睡眠》、森村泰昌の《烈火の季節/なにものかへのレクイエム(MISHIMA)》の2点の動画は必見。「悲しみ」と「愛しみ」を重ね合わせるなど、眠りを通して人の営みを浮かび上がらせ、さまざまな解釈の可能性を秘めた好企画。

21/1/10(日)

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