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水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
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文学、美術、音楽など、映画とさまざまな構成要素に注目

高崎 俊夫

1954年生まれ フリー編集者、映画評論家

さらば愛しきアウトロー

ロバート・レッドフォードが自らの引退作の主人公に実在の銀行強盗を選び、さらに『ボウイ&キーチ』や『地獄の逃避行』へのオマージュである『セインツ‐約束の果て‐』を撮った俊才デヴィッド・ロウリーにメガホンを託したのは何と聡明なことだろうか。拳銃をちらつかせるだけで、柔和な笑みを浮かべながら、誰も傷をつけずに、まんまと現ナマを奪取する老人ギャングを嬉々として演じるレッドフォードには、60年代の『逃亡地帯』に始まり、『明日に向って撃て!』のサンダンス・キッド、『ホットロック』の泥棒など数多の愛すべき悪漢のイメージが、見る者の裡でフラッシュバックされる仕組みになっている。レッドフォード自身が半世紀を超えて築き上げてきたハリウッド神話と悠然と戯れているかのようだ。最後の恋人を、謎めいた童女のイメージを未だに引きづっているシシー・スペイセクが演じているのが長年のファンには堪らない。クリント・イーストウッドの『運び屋』の裏をかくような、緩慢なペースの語り口によって、得も言われぬ、ほろ苦い親密さが画面のすみずみにまで滲み出す。これほど美しい〝神話の継承〟を見たのは久しぶりである。

19/7/8(月)

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